写真とメッセージで語りかける写真展「広河隆一 戦場の子どもたち 翻弄される命を見つめた50年の記録 パレスチナ、イラク、アフガニスタン、コンゴ、チェルノブイリ、福島」

 フォトジャーナリスト広河隆一氏の写真展広河隆一 戦場の子どもたち 翻弄される命を見つめた50年の記録 パレスチナ、イラク、アフガニスタン、コンゴ、チェルノブイリ、福島」が、池袋東京芸術劇場5階ギャラリー2(東京都豊島区)で3月8日(木)から3月17日(土)まで開催されています。

 広河氏は1967年に中東の取材を始めて以来、2017年で50年を迎えたそうです。その広河氏は人間の生存と尊厳が脅かされている場所を「人間の戦場」と呼び、そうした場所で生きる子供たちの悲しみと喜びの姿を写してきたそうです。
 写真展は、そうした広河氏の50年のフォトジャーナリストとしての取材活動を辿り、広河氏からのメッセージ文と写真で「語りかける写真展」という形で、パレスチナアフガニスタンイラクコンゴチェルノブイリ津波福島の7つのテーマで構成されていました。

 広河氏は大学を卒業してイスラエルに行くことになり、イスラエルに着いた2週間後に第三次中東戦争が勃発したそうです。
 パレスチナでは、フォトジャーナリストになったきっかけに出会い、そこから様々な人と出会い・考え――ジャーナリストという仕事について、何か起こった時に結果を伝えるだけではなく、起こってはならないことを防ぐことも仕事なのだと理解したそうです。
 アフガニスタンでは、アメリカ軍の空爆の報道は、攻撃する側の報道で、被害者についての報道が少ないこと。
 イラクでは、支配者あるいは戦勝者は、自分たちに都合の悪い記録を消してしまうこと。そこから、私たちが「知るべき情報」から慎重に目隠しされる時、私たちは警戒しないといけないこと。そして、ジャーナリストは、国や政治をきちんと「監視」しなければならない。
 コンゴでは、ノーベル平和賞受賞者でユダヤ人のエリ・ヴィーゼルが書いた「愛の反対は憎しみではない。無関心だ」を紹介し、関係ないように思うことが繋がっているということ。
 チェルノブイリでは、人々が健康で幸せに生きるための当然の権利を守るためには、「知る権利」が必要。「知る権利」は、命と繋がる、幸せに生きることに繋がる、とても大切な私たちの権利。
 津波では、3・11の地震発生時、広河氏は東京都世田谷区の「明大前」駅近くのDAYS JAPAN編集部にいて、雑誌編集してすぐに福島に向かったそうです。
 福島では、私たちの「知る権利」はきちんと守られているのでしょうか。私たちは守られているのでしょうか。と語りかけていました。
 最後に、私たちの「知る権利」と、人々の命が、とても強く結びついているということを語りかけ、これだけは許せないと思った時、そこでシャッターを切り始めたい。そして、将来のジャーナリストへのメッセージを伝えていました。

人々が「知る権利」を持っているのは、すべての人間に「生きる権利」、さらには「健康に幸せに生きる権利」が備わっているからです。しかしその権利があらゆるところで踏みにじられているのが、この世界でもあるのです。

 写真の他、これまでの広河氏の取材活動での思い出の品なども展示されていました。

 この写真展、撮影OKで、BlogやSNSでの発信もOKだそうです。